桐生くんには敵いません!

「來人の拳、紫色してたけど折れちゃってるかも」
「ひいっ、大丈夫なの? 桐生くん!!」
「アホやで、アホ。やりすぎやろ! せやけど桐生のおかげで、なんやスッキリしたわ」

 さあちゃんは嬉しそうにゲラゲラ笑っており、梶くんも目を細める。

「で、來人の迫力にビビったどら焼きアホンダラ王子は、騒ぎを聞きつけた先生に『何もしていないのに殴られかけた』って訴えて」
「チッ、クズやな」
「さあちゃん!」

 そのまま陸上部の練習の中に突進していきそうになるさあちゃんをタックルするように止めた。

「もしかしたら來人は、前々から四組の男子たちがそんな話をしているの知ってたんじゃないかな。そう思うと昨日の望月さんへの態度が悪かったのも理由づくよね?」

 梶くんの言葉に素直にうなずけたのは、桐生くんが静かに怒っている時の目を思い出したから。