桐生くんには敵いません!

「ごめんね、二人とも。気を使わせて」

 ケンカしたわけじゃないのに、なんでこんな風に無視し合っちゃってるんだろう。
 私は、桐生くんに避けられているようだから、話かけないだけだけどね!

「福が悪いわけやない。アイツがお子様やっただけやで。気にすんな。ほいでも、まあ数少ないうちの話し相手……、いや、ケンカ相手? 福を取り合うライバル? ……なんや、ようわからんけど、あんだけ毎日一緒におったのに全く話さないっちゅうんはつまらんから、とっとと機嫌直せって言うといて、梶」
「わかった! 望月さんも水谷さんも、めちゃくちゃ寂しがってたって言っておくね」
「言ってない」
「言うてへんやろ!」

 笑いながら梶くんが遠ざかっていくのを見送って、初めてさあちゃんと二人だけのランチをした。
 他愛もない話の中に、何度も桐生くんや梶くんの名前が上がる。
 たった一日だけなのに、さあちゃんも私もこの状況を『寂しい』と感じているようだった。
 どうか梶くんが桐生くんをまたここに連れてきてくれますように、そう願ったのに、実質的問題で彼が来られなくなると知ったのは、この二時間半後だった。