桐生くんには敵いません!

 翌日、いつもの最寄り駅にも、学校近くの駅にも桐生くんの姿はなかった。
 学校に着いたら、とっくに桐生くんは登校していて何だか悲しくなる。

『あのね、ちゃんと歩いてね? 福ちゃんは、身長ちっさいんだから必死に歩かないと俺と歩幅が合わないでしょ? 俺まで遅刻しちゃうでしょ? はい、ほら、小走りでいっちにーいっちにー』
『ちょっと待ってよ。だから一本早いので行けばゆっくり歩けるのに』
『そんなに早く俺が起きたくないもん。福ちゃんが頑張ってよ』
『はあ? だったらお互い好きな時間に行こうよ』
『なんで? 同じ教室だよ? 一緒に行こうよ、友達でしょ? 俺と福ちゃんは友達じゃないの?』

 有無を言わせない桐生くんに、仕方ないと時間を合わせて一緒に通っていたけれど
 ふ~ん……早く起きれるんじゃん、一人で来られるじゃん。
 そっか、やっぱり友達じゃなかったのか。

「福、おはようさん」
「おはよ、さあちゃん」

 私の前の席に座り小声で関西弁を話し出すさあちゃん。

「どないした? ホッペ、パンパンやで?」

 無意識に頬を膨らませていたようで慌てて空気を抜く。