「桐生くん、また東京に戻るのかしら? 福は、なにか聞いてる?」
「ううん……、聞いてない」
そんな大事なこと、友達なのに聞いていないってことに少しショックを受けてる。
桐生くんなんか、顔はいいけど性格は悪魔だし、いつも意地悪だし、今日だって訳わかんない理由で一方的に怒られた気がするし。
……でも、ほんの少しだけいいとこがあるのも知ってるから。
自信のなかった私を少しだけ変えてくれた。
見ためじゃなく中身が大事なんだってことを教えてくれた人で、大事な仲間だって本当はそう思ってた。
だから寂しい、私に何も言ってくれなかったのが寂しいのだ。
「……そんな大事な話、なんで私にすら言ってくれないのかな」
だって私と桐生くんの仲じゃないか……なんて私が一方的に思ってただけかな。
自分の部屋に戻ってベッドに倒れこんで天井を見上げたら、鼻の奥ががツンとして息苦しくなる。
「もうっ! 桐生くんなんか、勝手に行っちゃえばいい! 絶対に見送りしてあげないから」
そう呟いたら、生ぬるいものが目じりから溢れて頬を伝う気配に慌てて腕で顔を覆った。

