いつもなら駅からの帰り道、途中までは桐生くんと一緒のはずなのに完全に避けられているみたい。
授業が終わった瞬間、桐生くんは一番に教室を出て行ってしまった。
『ほら、とっとと帰る支度して? 福ちゃん、歩くの遅いんだから電車に遅れちゃうじゃん』なんてボヤきながら待っていてくれてたのに、今日は置いて行かれた。
バスケ部に入っている梶くんに手を振り、さあちゃんと校門前で別れる。
本物のお嬢様なさあちゃんだから、行き帰りは運転手さん付き自動車での送迎。
「福も乗ってけばええのに。アイツもいないことやし」
送ってくれようとしたさあちゃんに首を振り駅に急いでみたけど、もうそこには桐生くんはいなかった。
きっと一本前の電車で帰ってしまったのだろう。
次の電車に乗り重い足取りで家を目指すと、うちのお店からお客さんが出てきて向こうに歩いていく後ろ姿が見えた。
何度か見たことのあるその後ろ姿は、桐生くんのおばあさんじゃないだろうか?
いつも御贔屓にして下さりありがとうございます、と歩いていく背中に無言で頭を下げ、お店から入った。

