「そうだね、どうだっていいことだった。くだらないこと言って悪かったわ。じゃあね、福ちゃん、お幸せに」
「ちょっと、待って。桐生くん!」
立ち上がり、言い捨てるように校舎に向かって歩き出す桐生くんの背中に声をかけたけど振り向かない。
「まあまあ、ほっといてやって。あれ、時間が解決するやつ。今はとっても心が痛いだけ」
サンドイッチをようやく飲み込んだ梶くんが苦笑いをしている。
「桐生の脳みそは、幼稚園児並みやで、全く」
さあちゃんも呆れたようにため息をついてる。
さっきまで、確かに私の心ここにあらずで、明日の約束を考えてドキドキしていたりしたのに。
今は桐生くんのせいで、とっても気が重い。
桐生くんに食べてもらえなかったどら焼きを自分で食べる気もしなくて、梶くんに譲る。
「ええか、うちは福が幸せになるんやったら応援するで。ただし、どういう男なんかうちが確認してからや。ええな? 福」
「確認?」
「梶もええよな? 大事な友達のためや、協力しい」
「え? オレも?」
巻き込まれるような形で有無を言わさず押し付けられた梶くんが気の毒だった。

