桐生くんには敵いません!

 最後まで私の話を聞きながら、うんうん頷いていたさあちゃん。
 その横で黙ってサンドイッチの半分を食べ終えた桐生くんがズズッと牛乳を飲みこんで顔をあげる。

「で? 福ちゃんは、そんなんで好きになったんだ?」

 無表情のまま顔をあげた桐生くんがため息交じりに私に向かってそう言った。

「だから好きとか、そんな話じゃなくて」
「好きになったんでしょ? その顔見てりゃわかるよ。俺と福ちゃん、何年の付き合いだと思ってんのさ」

 なに言ってんだ、一年ちょっとですけど?

「あのね、まだそういうのじゃなくって」
「まだ、ってことはこれからそうなる予感がすでにしているということ? いや、もう福ちゃん自身、自分の気持ちに気づいてるとか?」
「違うってば!」

 桐生くんの意地悪そうな口調に私もついついムキになる。

「大体さ、もし私が誰かを好きになるとしても、それって桐生くんには関係ないよね」
「いや、望月さん、それはおおいに、ふがっ」

 なにか言いかけた梶くんの口の中に一瞬で詰め込まれたサンドイッチは桐生くんの手元に残っていたものだ。
 喉に詰まりかけて目を白黒させている梶くんにさあちゃんが慌てて水筒を手渡した。