桐生くんには敵いません!


「知ってるよ、望月さんたちって目立つし」

 そ、それはいつも一緒にいる桐生くんやさあちゃんのせいだろう。
 ハハッと苦笑いをしたら。

「それにさ望月さん家って、望月和菓子店でしょ? うちの母ちゃん、望月さん家の和菓子の大ファンで、小さい頃からどら焼きといえば望月和菓子店ので決まりだし」

 わ、常連さんなんだ。

「いつも御贔屓にして下さり、ありがとうございます」
「いえいえ、こちらこそ、いつも美味しいどら焼きをありがとうございます」
「私が作ってるわけじゃないんですが」

 ペコペコと互いに頭を下げあってから、そういえばと思いつく。

「あ、ちょっと待ってて下さい」

 あわてて教室に走り、ランチバッグの中から一つ手にすると彼のもとに戻る。

「これ、よろしければどうぞ。いつも買って下さるお礼です」
「え? うそ? 望月のどら焼きじゃん!」

 私が手渡したものに彼の眼が丸くなる。

「本当にいいの? 俺がもらっちゃっても」

 これは私の分のだし、桐生くんたちの分はあるからあげても大丈夫。