右腕を引く、天使スマイルの悪魔。
左腕を引く、関西弁美少女。
「あのー、痛いんですけども」
真ん中に立たされた私は半泣きで抗議。
あの時、梶くんが気付いてくれなかったら腕がぶっちぎれるんじゃないかと思ったよ。
「そこの君たち、もう予鈴チャイム鳴ったよ~!」
通りすがりの新入生らしき男の子に声をかけられた。
気付けばその子と私たち三人以外は既に校舎内に入ってしまったようで。
「入学式に遅刻とか洒落にならないから急がなくちゃ」
と笑顔だけど、なんだか汗だくの模様。
「ほ、ほら、水谷さんも桐生くんも入学式間に合わなくなっちゃうよ」
「福、ウチには入学式より大事なことがあんねん! このアンドロイドと決着をつけとかんと!」
「アンドロイド?」
男の子は水谷さんの口調よりもその視線の先にある桐生くんが気になったようで。
「へえ、すごい! 全然アンドロイドに見えない。すごく良くできてるね」
なんて感心してる。うっ、この人、天然なの?
屈託のない笑顔でほのぼのとした空気をかもしだしてるけど、ここにいたらこの人も遅刻するんじゃ?
「あ、あの、お急ぎですよね! なんとか決着つけてすぐ後追いますので、どうぞお先に」
「ありがと、でも」
「はい?」
「あのさ、一年生の昇降口って確か二つに分かれてたじゃない? でさ、一か所は覚えてたんだけど、自分のクラスの方だけ忘れちゃったんだよね、場所。俺方向音痴で」
だ、だから汗だくだったの? もしかしてずっと走り回ってた?
「ちなみに何組ですか?」
「三組」
「「「三組⁉」」」
水谷さん、桐生くん、私が息もピッタリに口を揃えたら彼は驚いたようで目を丸くしている。

