桐生くんには敵いません!


「福さんって……、パグ、ですよね?」
「せや、アンタは前世パグやってん!」

 私、パグ?

「いや、あの違います、私は生まれてからずっと人間でして」
「でも、福やって言うたし。その愛嬌あるつぶらな瞳、ウチが見間違えるわけないやろ」
「あのですね、名前が同じ、福なんです。望月福といいます。両親の元に人間として生まれ育って」
「誕生日はいつや?」
「十月十日です」
「福やんけええええ! やっぱり福に違いないわ」

 しまった、パグの福さんと誕生日まで一緒だなんて色々ややこしすぎる。

「福ちゃん?」

 聞き覚えのある声に振り返ると、私と同じ深緑色のジャケット、花見が丘に受かった桐生くんが立っていた。
 ややこしくなりそうな人がもう一人来てしまったことに頭を抱える。

「見た? クラス発表。福ちゃん、一年三組でしょ。オレたち、また同じクラスだよね、よろしく! 花見が丘って三年間クラス替え無いんだって。いやあ、福ちゃんと三年間一緒なんて嬉しいなあ」

 ニヤリとした桐生くんの悪魔スマイルにヒッと首をすくめる。
 ああ、神よ、なぜ桐生くんと同じクラスになど……。自分以外の名前を確認してなかったことに後悔をする。