桐生くんには敵いません!


「あ、あ、あの、福ですけど? 確かに私の名前は福であってますけども? どこかでお会いしましたか? 私、全然覚えてなくて、ごめんなさいなんですが」

 少なくとも私には彼女に会った覚えはない。
 だって、これだけの美少女であれば一度見たら忘れられないはずである。
 彼女の腕の中、ギュウギュウに抱きしめられる痛みに耐えながら必死にもがく私に。

「だって福やろ? ウチの福やもん、見間違えるわけないやん! どんなに姿かたちが変わったかて、わかるで。アンタが福の生まれ変わりやってこと。ウチにはわかってるで! アンタの記憶が無うても、ウチは覚えとる。福うううう、ホンマに会いたかったでええええ」

 ワンワン泣き出す美少女さんだけど、すみません、もう理解が全然追いつきません。
 ただ一つわかったのは、福さんという方は美少女さんにとって、とても大切な人であったこと。
 そして私が福さんに似ていることと。彼女がこの世にはいないということ……。

「お、お、お悔やみを申し上げます」
「いや、ええ! こうしてウチのところに帰ってきてくれたし」
「あ、いや、私は多分違うんでは」
「アンタが死んでから、ウチの心もずっと死んだままやったんよ」

 ダメだ、私は福さんの生まれ変わりとして彼女の前に現れようやく再会。感動で興奮状態の今、それ以上の話は聞く耳を持っていないようだ。