桐生くんには敵いません!

「……、メンチ切っとるんか? あれ」
「メンチって? コロッケみたいなやつ?」
「それメンチカツやで、福! ウチが言うとるんは、アイツこっちを睨んどるんかってこっちゃ」

 初夏の日差しを避けるように木陰の下で、さあちゃんと二人でお昼ご飯を食べる。
 少し離れたグラウンドでサッカーをしている男の子がうっとりとこちらを、いや、さあちゃんを見ていた。
 私には決して睨んでいるようには思えないけど、さあちゃんは視力弱めだから見えないのかな?
 こちら側の顔の表情までは離れているからわからないだろとばかりに、さあちゃんは眉間に皺を寄せ口を尖らせて舌打ちをし悪態をつく。
 ああ、美しいお顔でなんてことを!

「こっち見んなや、そない見られたら飯マズなるわ!」

 今すぐにでも相手を殴りにでも行きそうな声を出し始めたから、さあちゃんの視界を遮るように座った。

「もう見えない? 大丈夫? さあちゃん」
「なんなん? 人の顔ジロジロと、気味が悪いったら」