桐生くんには敵いません!

 走り出して数分で汗だくになり始めた私が首を傾げたら。

「もう誰にも大福ちゃんって呼ばれないようにしようよ、福ちゃん」

 ニッコリ天使スマイルが朝陽に映える。
 騙されるな、見た目に騙されちゃダメだ!
 そう思うのに、また懲りずにドキッとしてしまっているチョロすぎる私。

「ジョギングしてさ、今日からダイエットしようよ、福ちゃん。見た目に自信がつけば、少しは言い返せるようになるかもよ?」
「え、え、え?」
「毎朝付き合ってあげるからね? がんばろ?」

 と少しだけ自転車のスピードを上げ始める桐生くん。

「やだ、やだ、やだ――! ジョギングなんかしたくない」
「走れ、へなちょこグーパンチ。止まったら、どうなるか」
「うう、ああああ、走るってば――!」

 そうしてそれから三ヶ月、雨の日も暑い日も、本当に桐生くんは私のジョギングに付き合ってくれて。
 夏休み一週間前くらいには、私の見た目は普通体型の女子になれた。