桐生くんには敵いません!

 その翌日、六時十分前から市役所の前で待っていた私の元に六時ピッタリにアクビ混じりで現れた桐生くんは自転車に乗っていた。

「おはよ、福ちゃん。さあ、走ろうか」
「おはようって、え?」

 ゆっくり自転車をこぎ出す桐生くんが何を言っているのかイマイチわからずに立ち止まったままの私を。

「ほら、走って、福ちゃん」

 一度だけ自転車を止めて振り返った桐生くんがまた自転車で走り出す。

「待って、えっと、どこ行くの? 桐生くん?」

 慌ててその後ろを追いかけながら声をかけたら。

「どこ行こう? 海とか? 遠いっけ?」
「えっとここからだと二キロくらい」
「真っすぐ行けば着くんだっけ」
「そうそう」
「じゃあ、海にしよう、往復で四キロか。丁度いいね?」
「丁度いいって? え? なにが丁度いいって? というか、少し自転車のスピード落としてくれないかな? 私、しんどいかも、です」
「しんどいくらいが丁度いいと思うよ、ジョギングは」

 ジョギングとは?