桐生くんには敵いません!

 言われっぱなしだった私に火をつけたのは『自分への自信のなさ』まさに図星なそれ。
 世の中には自分に自信がある人とない人がいる。
 生まれながらに天使のような姿かたちをした彼には到底理解できないかもしれない。
なんでも普通で、いやちょいデブなおかげで普通以下に見られてる私のことなど!

「俺みたいなら、ってどういうこと?」
「……桐生くん、コンプレックスないでしょ? 生まれた時からかっこいいだろうし」
「くっだらな」

 桐生くんの顔から、へらりとした笑顔が消えて冷たい視線が私を見下ろしていた。

「見た目ってそんな大事? それが自信なんかになると思う? 本当に?」

 無表情で私を見下ろす桐生くんは、呆れているのか怒っているのか。
 どちらにせよ、私の考え方そのものがさっき桐生くんが言っていたように、卑屈でそれが顔にも現れてるのかもしれない。
 でもね、私だって自分に少しでも自信が持てたなら、せめてもう少しかわいければ。
 そう思ったら悔しくて涙が出てきた。
 私のことなんか何も知らない、別世界で生きてきたような男の子にいきなり指摘された真実が痛くて、悲しくて、そして自分自身に対して悔しくて。
 しばしの沈黙の後で、桐生くんのため息と小さな「ゴメン」が聞こえた気がした。