桐生くんには敵いません!

「何でもって? それは、どういう」
「何でもは、何でもでしょう。日本語わかる?」

 クスリと笑うのはきっと私が理解できてない頭の悪い子だと思ってるからだろうか、この時点で何だかモヤモヤしていた。

「えっと、望月大福ちゃん?」
「違うってば! 望月福です!」
「福ちゃんね、さっきのグーパンチのことは誰にも言わないから安心して」

 グハッ、自分の立場が激弱だったことを思い出して顔が引き攣る。

「でもさ、俺、福ちゃんみたいな子って、すっごい苛つくんだよね。本当はイヤなこと口に出せないでフラストレーション溜めてるくせに、『私、無害です』みたいな卑屈に笑ってる人」

 言い返す言葉がひとつも浮かんでこなくて唇を噛みしめた。

「掃除は変わらない、自分は大福ちゃんじゃないって、彼女たちに言い返せばいいじゃん? なんなら、さっきみたいに本人にグーパンチかましてやれば? あ、でもそっか。福ちゃんは、自分に自信がないからできないのかな」
「……私だって」
「ん?」
「私だって、桐生くんみたいだったら言い返してたよ」