桐生くんには敵いません!

 クラスカースト上下はあっても、せめて掃除当番は平等であれよ、と思う。いや、カーストもあっちゃダメだけど。
 マナちゃんたちは、一人掃除を押し付けられる私のことなんて、便利屋としか思ってない、それがムカつく!
 それに大福じゃないよ、福だよ! いくら家が和菓子屋だからって失礼にもほどがある!
 福って名前は『望月和菓子店の福の神になあれ』『この子にたくさんの幸福が訪れますように!』とお母さんが付けてくれた大事な名前なんだいっ!
 息を吐き出して拳を握る。私だって、ストレスは溜まるんだよ~!

「大福ちゃんって呼ぶなっ! たまには掃除しろ!」

 拳を丸めてマナちゃんの体操服入れをグーパンチした。
 普段なにも言い返すことのできない私の唯一のストレス発散方法だ。
 誰にも知られちゃいけない、陰険な方法だっていうのは重々承知。
 でもね、一発だけ殴ったらスッキリするのだ。明日からまた普通に笑って過ごせる……なんだけど。