桐生くんには敵いません!

「さっきのプライバシー侵害女子のせいでしょ? まだ新品なのに、ひどいよね。文句言って彼女のと取り換えて貰えば?」
「い、いや、大丈夫です。使っていればいずれこうなるかもしれないし」

 マナちゃんと揉めてヒドイ目にあいたくないのが本音。

「ふうん? 望月さんって、なんでも丸く収めたいタイプ? 疲れそうだよね、自分が言いたい事殺すのって」

 ニッコリ笑う桐生くんの言葉がなんだかグサグサッと私の胸を突き刺した。
 曖昧に笑って前を向いてから、さっきの言葉に含まれていた意味を探す。
 だって、しょうがないじゃん!

『マナちゃんのお尻が私の教科書を折り曲げたので、謝ってください、教科書取り換えて下さい』って言えってこと?
 いや、無理でしょ!
 そんなことしたら、この後卒業までの一年間、私に平穏なんか無くなってしまうもの。
 というか、桐生くんって、ちょっと変わってる?
 さっきのマナちゃんへの返事もそうだったけど、言葉の端々(はしばし)(とげ)が混じっているみたいな……?