桐生くんには敵いません!

 でもね、世の中美女と野獣はあっても、イケメンとちょいおデブ女子というラブストーリーが早々生まれないのは知ってる、うん、知ってた。
 休み時間の度に、桐生くんの周りには女子たちが群がり、私と桐生くんの間に人間の壁が出来上がる。
 桐生くんに質問の嵐を浴びせつつ、学校案内を申し出ていた。
 その全てに「今日はいいよ」と断っている桐生くん、そっ気ない返事にめげず次々質問を浴びせる女子たち。
 私の机に腰かけて「えー、桐生くん冷たあい」なんて甘ったるい声を出すのは、うちのクラスのカースト上位軍トップに君臨しているマナちゃんだ。
 うちの小学校は二年でクラス替えがあり、五年生からの持ち上がり。つまり、今は同じクラス二年目だ。
 その中で取り巻きをつくり、クラス一のかわいらしさでメキメキと頭角を現してきたクラスカースト一位のマナちゃんには女子全員逆らえない。
 たとえ、次の時間の用意をしていた私の新品の算数の教科書が、マナちゃんのお尻の下敷きであることについても文句は言ってはいけないのだ。