桐生くんには敵いません!

 今朝から置かれていた机を見て隣の席に転校生が来るんだなというのはわかっていたものの、まさかこんなイケメンがやってくるだなんて予想外だった。
 できれば優しい女の子がいいな、なんて思っていたけど、予想のナナメ上すぎた。
 桐生くんが、こちらに向かって歩いてくる。
 背高い、顔小さい、手足長い、近くで見たらまつ毛も長い!

「よよよ、よろしくお願いしますます」

 座ろうとして視線を私に止めた桐生くんに向かって挨拶したら緊張のあまり噛むどころか『ますます』になっちゃったの、めっちゃダサイ。
 そんな私に桐生くんは口元だけでクスリと笑うようにして席につく。
 隣である。隣にとんでもないイケメンが座っている。
 その日一日、私の右隣の体温はずっと熱かったような気がする。
 意識しちゃいけないって思っているのに、どうしても視界に入っちゃうから仕方ない。
 話しかけられたら、どうしよう? 学校案内とかしちゃう?
 そこで『望月さんって、親切だね。君みたいな子が隣で良かったよ』なーんて、仲良くなれちゃったりしたら、私どうする⁉