桐生くんには敵いません!

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「桐生 來人です。一年間よろしくお願いします」

 ザワついていた六年一組の教室が静まり返るのは、彼を真正面に見据えてしまったために起きた息を呑む現象のせい。
 顔をあげ、少しだけ遠慮がちに笑った桐生くんを見て、クラス中の女子の頬が赤く染まっている気がした。
 もちろん、例外なく私もだ。
 テレビの向こう側でしか見たことのないキレイな男の子が、地方都市のしかも同じクラスに存在している奇跡にうちのクラスの女子全員が感動をしている。
 色素の薄い栗色の髪の毛と色白の肌、切れ長の二重、引き締まった唇。
 心臓の音がいつもより早い、多分教室中の女子全員そうなってる。

「桐生くんは東京から転校してきました。小学校六年生という大事な一年間を共に過ごすことになります。桐生くん、わからないことがあれば私でもクラスメイトでも頼って下さいね」

 中村先生の紹介に女子全員何度も首を縦に振る。

「では、桐生くんの席は、望月さんの隣の空いてる席に」

 自分の名前を呼ばれ背筋がピンと伸びた。