泡のような世界で君と恋をする

「地上には、戻れない」

 その言葉は、あまりにも自然で。
 最初から決まっていた事実のように、淡々としていた。

「冗談、だよね……?」

 笑おうとしたのに、唇がうまく動かない。

 彼は私をさらに強く抱き寄せた。
 逃げられない距離。逃がす気のない抱き方。

「冗談じゃない」

 耳元で、低く囁かれる。

「君は、ここで生きる」

 拒絶する言葉なのに、声は優しかった。
 子どもに言い聞かせるみたいに、穏やかで。