泡のような世界で君と恋をする

「名乗る必要はない」
「君は“運ばれた存在”だ」

その言葉で、すべてが繋がる。

(……連れてこられた……?)

「ここは禁域の外縁」
「人間が来るべき場所ではない」

胸が、ぎゅっと締めつけられる。

「……どうして……私を……」

「君は特異だ」

淡々とした声が続く。

「人間でありながら、この海に拒絶されていない」
「結界に溶け込み、歪みを生じさせなかった」

意味が分からない。
けれど、嫌な予感だけははっきりとあった。

「王が、君を“鍵”と呼んでいる」

その言葉で、すべてが繋がった。
――攫われたのだ。
偶然でも、事故でもない。と。

「……鍵……?」