泡のような世界で君と恋をする

 おとぎ話の中でしか知らない存在が、私を見下ろしていた。

「……助けて、くれたの?」

 震える声でそう聞くと、彼は一瞬だけ目を細めた。

「助けた、というより――連れてきた」

 静かな声だった。
 感情がないわけじゃない。ただ、揺らぎがない。

「え……?」

「ここは深海だ。人間が来る場所じゃない」

 言い切られて、胸がざわつく。