泡のような世界で君と恋をする

夜。

王国を出る前、私は立ち止まった。

「……ルシア」

「行くのか」

「はい」

人間の世界へ。
元いた場所へ。

「戻らなきゃ」
「ここに来た意味が、完成しない気がして」

ルシアは、黙って頷いた。

引き留めない。
命じない。

それが、今の彼の選択だった。

「……王国は」
私が言う。
「ちゃんと、変わりますか」

「すぐには、無理だ」

正直な答え。