両手でも抱えきれない愛で贖えるものならば

これまで、何度も遊びには行ったが、泊まったことは一度もないので、及川くんの部屋には、私の私物なんて置いていない。

部屋に着くと、タオルを貸してくれた。

「気持ち悪いだろうから、シャワー使っていいよ」

確かに全身ずぶ濡れで気持ち悪いが、私は自分の気持ちを抑えきれず、彼に抱きついた。

「どうしたの⋯⋯?」

彼が明らかに戸惑っているのはわかる。

それでも、もうなりふり構わずだ。

「ごめんなさい⋯⋯!私のせいで、及川くんのこと、うんと傷つけたよね」

「確かにショックではあったけど、三井さんのせいじゃないよ」

「どうして⋯⋯?」

「だって、僕がそんなに三井さんを不安にさせてたこと、今ごろ知るなんて⋯⋯。こんな鈍い男、振られても仕方ないじゃない」

「ねぇ、どうしたら許してくれる?私、及川くんとやり直せるなら、どんなことだってするから⋯⋯」