両手でも抱えきれない愛で贖えるものならば

「だとしても、アンタの片想いなのは間違いないと思うけど」

「何を根拠に?」

「同じ男だから判るんだよ。5年目にもなって何もしないとか、アンタには全く性的魅力を感じてないってことだろ」

それを言われると、傷つく。

好きでもない相手から性的魅力を感じられても迷惑でしかないが、この男の言うように、及川くんとは19歳からずっと付き合っていながら、友達と何ら変わらないような関係なのは事実。

それこそ、キスしたことすらない。


特にそれを問題だと意識したことはなかったが、社会人になってなかなか会えなくなったことや、急に現れたこの男に心をかき乱されているせいなのか、何故だか突然、及川くんの気持ちが見えなくなって、不安になる。

「そんな暗い顔するなよ。俺なら、嫌というほど可愛がってやるのに」

こんな不躾な言い方をされたら堪忍袋の緒が切れそうなのに、今は何故か怒れない。