両手でも抱えきれない愛で贖えるものならば

そう言うと、また感じ悪く笑われ、

「メンタルの話してるんじゃないんだよ。フィジカルのほう」

あまりにも下世話な話に、顔が熱くなる。

だんまりを決め込むと、

「更に突っ込んで聞くけどさ、もしかしてそいつとは、一切ないんじゃないの?」

何故、赤の他人にそんなことを言われないといけないのか。

確かに、私たちは5年目にもなるのに、未だにそういうことは全くない。

男は、ニヤニヤと笑いながら、

「そんなことだろうと思ってたよ。そいつ、ゲイなのかもね」

「は⋯⋯?」

「アンタはダミーの彼女で、男が好きなんじゃない?」

「ああ、それはないですね」

「何でそう言い切れる?」

「前に彼が言ってましたから。『LGBTQを理解してあげよう、なんて言い方は、おこがましいよね。僕はストレートだから完全に理解はできないけど、マイノリティもマジョリティも対等なのに』って」