これが恋じゃないとしても

そうか。



もう、あのナヨっぽくてしつこい声を聞くこともないのか。

そして、俺にだけ見せる人懐こい笑顔も、もう見ることはない⋯⋯。




しばらくして、ハッとする。

なんで、柄にもなくセンチメンタルになっているのか。

別に好きでもない、むしろ嫌いな高校だった。

卒業したって、何の感傷もありゃしないのに。

今西にしてもそうだ。

俺はケータイを持ってないと言ったが、自宅に連絡するなとは一言も言っていない。

だからといって、家にかけてくるとか、手紙を送ってくるわけでもなかったし、あくまで学校内だけの付き合いしかないのだ。

いつだったか、クラスメイトが、

「今西くんと凄く仲いいけど⋯⋯付き合ってるの?」

あまりにふざけたことを聞くので、

「は?一体何を見てそんなこと言ってんだ。あり得ねえだろ。受験生がバカらしい噂ばっかりしてんじゃねぇよ」

そう吐き捨てると、相手は泣き出した。

クラスメイトでありながら、名前すら覚えていなかったが、見た目は地味で大人しい雰囲気で⋯⋯でも、いかにも女の子、という感じだった気がする。