あなたに伝えたくて

もう、何度来たかわからない彼の部屋で、ふと思う。

いつから、当たり前のように、ここへ来るようになったのだろう?

いつから、私たちは恋人のドアを開いたのだろう?

今も、彼はソファで私の髪を撫でながら、他愛ない話をしているけれど⋯⋯。

ぼんやりと、その愛しい横顔を見ていると、彼は優しい瞳で私を見つめ返し、

「どうした?」

そう尋ねる声もまた、とても優しい。

「私たち、いつから付き合ってるのかなぁ?って」

すると彼は、うーん⋯⋯と、天井を見上げた。

「言われてみれば⋯⋯ごめん、そうだよね。女の子って、そういう記念日って大事だよな。俺、鈍くて⋯⋯ホントごめん」

「ううん。そういう意味で言った訳じゃないよ」


私たちは、もともと、親しい友達だった。

もし、何年か早くに出逢っていたら、きっと私はこの人を、すぐに好きになっていただろう。

しかし、そうならなかったのは、私がひとつ前の失恋を引きずり続けていたから。