もう一回言って

未桜が言いかけた時、正門の影から……蓮が来て、俺らの前で仁王立ちした。
「……私も、帰る」
「あ!れ、蓮ちゃんも!?」
「何、だめなわけ?」
いきなりのことに、未桜がおどおどしていると、蓮が未桜を怪訝そうに見た。
「そんな…全然!ね、涼ちゃん」
未桜がぎゅっと蓮に見えない位置で俺の服を掴む。
不安そうに睫毛が揺れている。
「あぁ‥」
蓮からあからさまに顔をそらし、頷いた。
「…」
少しだけ、蓮の口が動いたが、また閉じて何事もなかったかのように先を歩き始めた。
「涼ちゃん…っ!」
先を歩いている蓮に聞こえないくらいの声で未桜が俺に話しかける。

さっき、蓮から顔そらしたこと‥怒ってんのか?

「ごめん。さっきの」
「え?何の話?」
俺が謝ると、未桜はきょとんとして、首を傾げた。
「あ…や、何でもない。 どした、未桜」
蓮の機嫌を損ねたかもしれないことに怒ってたんじゃないのか…?
「蓮ちゃんのこと名前呼びしたら怒られなかったよ!」
口元をほころばせる未桜。
その姿に吹き出さずにはいられなかった。
「ッ…そんなことで喜んでんの?」
「そ、そんなことって!重大なことだよ!!」
未桜が、上目遣いでムーッと口を尖らせる。