もう一回言って

今まで、男は全員未桜のこと狙う害虫野郎どもだとしか思ってなかったから、愛想よくしてなかったし、関わってこなかったんだよな。
けど髙坂は、多分だけど俺のためにこうやって気使ってくれたし、いいやつ…だよな。

そっと席から立ちあがって離れながらも、チラッと髙坂を振り返ると、俺のほうなんて向いていなくて、自分のことについて自慢げに語っていた。その度に周りに笑われ、ツッコまれて楽しそうにしていた。
「髙坂君、いい人だね」
いつの間に隣のクラスからやってきた未桜が、髙坂を見て目を細める。
いつもなら髙坂や未桜が見つめている奴らを全員ぶっ飛ばしたいくらいに思う。
だけど、今日はなぜかそんな気が全くしなかった。
むしろ…未桜に対して共感してしまった。男子のことでこんなふうに思うのは、髙坂が初めてだった。
「……まあ、そうだな」
「”まあ”って!髙坂くんと仲良くしてたじゃん。少しいいなあって思ったよ?」
あはは、とおかしそうに笑い、今度こそ怒った顔じゃなく、優しい笑顔で俺を見てくれる未桜。
「いいなって…未桜が?嫉妬?髙坂に?」
「だ、だめかな?男子だとしても、うらやましいくらいは思うよ。私、涼ちゃんに迷惑かけてばっかだし。役に立ちたいなって思うことも、全然できなくて空回りして。涼ちゃんが優しいから甘えて、怒って…」

未桜……。

自分のことを責める未桜の肩を抱く。
「バカじゃねーの。俺、そういうの全部知ってるし。未桜のこと、何年見てきたと思ってんの」
「…そうだけど、蓮ちゃ……五十嵐さん?にも嫌われて、朝頑張ってフレンチトースト作ったんだけど、焦がしちゃってうざがられちゃった。『早く出てって』って怒られちゃったよ。あはは‥涼ちゃんにもっと料理教えてもらっておけばよかったなあ」
頭をかいて苦笑する未桜。
フレンチトースト…あ。
俺は朝、蓮が嬉しそうにフレンチトーストを頬張っていたのを思い出した。