もう一回言って

蓮を見ず、下を向いて独り言のように小さな声で言う。
情けねー…。妹に謝るのにこんな勇気いるなんて。
「お兄ちゃんなんて嫌い」
初めていわれた。
どんなに喧嘩することがあっても、嫌いなんて言われたことは今までなかった。
「うん。そうだよな…。ごめん。ホントに」
憎まれ口、みんな離れていく、自業自得…最低だな、俺。
ムカついたからって、ここまで言って良いわけねぇ。
未桜も、俺に失望したか…。
「フンッ」
「あぁ、えっと…五十嵐さんは私の部屋使って?スーツケースは後で持ってく。泊まるんだよね…?」
「…別に。泊まってほしいなら私は……。パパに報告しなきゃいけないからあんたの部屋とか嫌だけど泊まる」
あ?未桜の部屋が嫌?
俺が代わってほしいぐれぇだよ、未桜の部屋に泊まるなんていいことずくめじゃんか。
「未桜は俺の部屋で寝るからな」
「う、うん...」
未桜は横目で蓮を見ながらも、俺についてくる。
「ホントにいいの?れ…五十嵐、さん」
不安そー…可愛い。
こんなときに口元が緩むのを手で抑えながら、未桜の頭に手を置く。
こーゆー顔を見んの、俺だけでいい…幸せすぎ。
「あいつのことは気にするな。長いこと会ってないから色々変わってて驚いてんだよ、きっと」
蓮のことを庇うというよりは、未桜を不安にさせないために言った。
「そうかな…嫌われてるよね、私」
全然安心してねー…。
苦笑い。なんで無理してんだよ。俺が余計なこと言ったからか?
それとも蓮が来たから?
さっきまであんなに恥ず…楽しそうにしてたのに。
「未桜、腹減ってない?」