もう一回言って

未桜と至福の時間を過ごしていた時、それを邪魔するかのようにインターホンが鳴った。
誰だよ…。こんな時に邪魔しに来て。
「あ、私出てくる」
顔がゆでだこのように真っ赤な上に、服も透けてるし濡れている。そんな恰好で外に出れば…。
男だったら許さねぇ…殺す。
「待て。着替えねーといけねぇだろ」
「…そ、そっか!じゃあ着替えてくる!涼ちゃんも今のうちに着替えてきたら?」
「そだな」
焦ってる、可愛い。
今すぐ抱きしめてしまいたい衝動をギリギリで抑え、未桜が下に行ったのを確認してから服を脱いで、洗面所にある寝巻きに着替える。
「…ゃん!」
「な…るの?…にを…て」
途切れ途切れだけど、未桜の驚いたような嬉しそうな声と、相手の、恐らく女の声。
未桜?大丈夫か?
心配になり、俺も一階に行って玄関ポーチをのぞくと、絶句した。
なんでこいつがいるんだよ…。
「あ!」
こいつは、俺を見て一瞬で顔の表情がコロッと変わる。
「久しぶり!」
父親譲りであり未桜とも似ている、笑うと笑窪ができるところ。
「蓮…」
五十嵐蓮。中三。
「お兄ちゃん!」
俺の…実妹だ。
五十嵐というのは、母さんの旧姓。俺が五歳の時に両親が離婚し、俺は父さんに、蓮は母さんに引き取られた。
あれ以来、たまに連から電話は来たり、長期休み期間に父さんと三人で会うことは会ったけど、去年から海外の高校を受験すると言って俺や父さんとの連絡が一切途絶えていた。