もう一回言って

すごく、苦しい。
息ができないからじゃない。涼ちゃんと一年生の子のことも心配。
だけど、それだけじゃない。私の中の黒いモヤモヤが頭を支配して、涼ちゃんとのキスに…何も感じられなかった。
「ア…嫌ッ!」
息をするために口を開けると、涼ちゃんのものである生温いものが口内に入ってきて、我に返って涼ちゃんを突き飛ばした。
…!
私が突き飛ばしたせいで後ろにあったシャワーの蛇口の部分に涼ちゃんの背中が当たって回ってしまい、上から冷たい水が降ってきた。
何してんの、私…っ!前にも、付き合う前にも涼ちゃんのこと突き飛ばして、傷つかせたばっかりなのに。
好きなのに…キスはまだ驚くし、一段階大人なキスには…全然慣れない。
旭先輩とでさえ、こんなキス一回したかな?くらいなのに…って、また比べてる!
サイテー最悪だろ、私!元カレと大好きな涼ちゃんを比べて…!
もうやだ、自己嫌悪。
「おい‥」
水でびしょ濡れになった涼ちゃんに声をかけられる。
「ごごごごめん!!今すぐシャワー止める!タオルも持ってくる!」
蛇口に手を伸ばす手を止められ、後ろを向かされた。
え、え?これじゃあ涼ちゃんの顔見れないんですが?
無言で何をしたいの…?
「透けてんだよ、服。気づけ。お前もめっちゃ濡れてるし、謝ることじゃねーよ。俺はもう風呂入ろうと思ってたところなんだからよ」
「でも……」
「あ?でもじゃない。タオル持ってくるなら自分の。俺のはいらねーから。このまま風呂入るし。な?だから自分の身の安全を確保して、今隣にすげー危険な野生の獣いるって分かれよ」
「やせ…獣!?も、冗談はいい加減に…!」
「冗談でもねーだろ?未桜のこと、また傷つけたじゃねーか、俺。変なことして」