―一年前―
『桜叶、行ってきなよ?もしかしたら先輩この先すごく可愛い女の子に告白されたらさすがの三谷先輩でも落ちるかもなんだよ!?そのまえに桜叶が告白しなきゃ』
当初、高一だった彩と私は、いつもお互いの好きな人…旭先輩とバレー部の先輩(今は違うけど)の話で盛り上がっていた。
『で、でも‥私には当たって砕けろ精神ないよ…』
『やらない後悔よりやった後悔、だよ!桜叶、もし振られても慰めてあげるから行ってきなよ』
冗談半分で彩が笑いながら言う。
人が真剣な時に…とも思ったけど、結局彩に負け、先輩を校舎裏に呼び出した。
『どうしたの?柊木さん』
私の名前、覚えてくれたんだ…。
その時の私はそれだけですごくすごく嬉しくて天についてしまうくらいだった。
『えっと、その…三谷先輩が………好き、です………』
最後の方はずいぶん声が小さくなってしまったけど、それでも旭先輩には聞こえていたみたいで、目をこれでもかというくらい見開いていた。
『俺でいいなら……お願いします』
しばらくして、思いがけない返事がしたと思ってバッと顔を上げれば、顔を真っ赤にして片手で口元を抑えながら私と目を合わせられない状態の先輩がいた。
こんな旭先輩を見たのは、初めてだった。
お互い、緊張で何も言えないまま十分くらい過ぎ、先輩がようやく私を真っすぐに見つめて『改めてよろしくね。柊木さん』と言ってくれたのを覚えている。
その後、ダッシュで教室に戻り、彩にも報告をしたらすごく喜んでもらえた。
旭先輩と付き合って、学びと初めてがたくさんあった。
初デートで遊園地に行った日、恋人つなぎをしたり、お化け屋敷で怖がるついでに先輩を抱きしめたり。
夜、私が家にまで送ってくれた旭先輩に帰りたくないとごねたら、額にキスをして初めて『桜叶』と呼んでもらえたこと。
私が期末テストの赤点を阻止したいと言うと、先輩の家に呼んでもらい、勉強をつきっきりで教えてもらった。

