もう一回言って

「ありがとう、彩!今日、涼ちゃんと放課後出かけてみる。気晴らしになるかもしれないし」
「はは。そだね。頑張れ」
「彩は小此木先輩とデート?」
「まぁ…。カイ先輩今日も女の子に囲まれてそうだけど」
「小此木先輩のことだからガン無視してるよ。彩にだけ異様に優しいもん」
「そ、そんなことないし!もう、早く教室戻ろ!」
私の言葉に頬を赤らめる彩。
可愛いな…小此木先輩が惚れるのもわかる、うん。
彩の彼氏である小此木カイ先輩は三年生でバド部部長。もうすぐ大学受験があって引退らしいけど、それまでは彩と同じ部活だから一緒に頑張るって張り切っていた。人全般がほぼ嫌いらしいのに、彼女である彩には一目惚れして、たくさん告白して最近ようやく付き合えたらしい。
毎日愛されてるんだろうな……ちょっと、羨ましいかも‥。
「あっ…あれ」
驚いたような声をあげ、茂みの近くを指さす彩。
教室に戻る途中の外廊下から見えたのは、茂みの方で男子と女子が二人でいる様子。
ドクン
旭先輩だ…。私が、間違うはずがない。
女子の方はわからないけど、男子の方は一つ年上の三谷旭先輩だった。
「桜叶……?」
「ぁ…ごめん。大丈夫だよ」
大丈夫なはずなのに、体はそこから動かない。
旭先輩たちの声がかすかに聞こえてきて、私と彩はそれに耳をすませた。
「三谷君…。あたし、三谷君が好きで…だから…付き合ってほしいですっ」
やっぱり‥告白だ。
旭先輩は顔も整っているし、何しろバスケ部部長を務めているから、女子から絶大な人気を集めている。
「ごめんね。俺、今は付き合う気ないから」
そんな先輩の答えはいつも決まってこうだった。
私の時も、そうだと思っていた…いや、確信していた。