もう一回言って

「うーん…そうだな。じゃあ、お言葉に甘えてそうするよ」
わざと黒崎が望んだ答えとは真逆のことを言い、桜叶の頭に手を置く。
サラサラな茶髪、小さな肩、桃色の頬、白い肌…全部が可愛い。
「ぁ、のっ、先輩…っ?あ、頭‥」
「えっ、あぁ…ごめん」
昔の癖で桜叶の頭を撫でていたのを自覚する。
横目で黒崎を見ると、思った通り、俺と桜叶のことを見て悔しそうな顔をする。
♪♩♬♪
メール…?俺のスマホから?珍しいな…。
こんな時ってことは誰かの非常時か?
‥‥‥‥。千咲からか‥。
俺にメールを送ってきたのは、最近仲良くしている須藤千咲という女子だった。
フレンドリーで女子を名前であまり呼ばない俺にも『千咲って呼んで!』って言ってきた。
【今、大雨とか台風がヤバいらしいけど大丈夫っ?】
なんだ、そんなことか。
せっかく桜叶と話してたんだし返信したくもない。
でもこのままだと既読スルーになるし…適当に打って送るか。
【俺は知り合いの家に泊まるから平気】
これでもう送ってこないかな。
スマホを画面を上にしたまま机の上に置く。
「メール…いいんですか?」
桜叶がスマホを見て首をかしげる。
「うん。一応返信したし」
「なるほど‥。じゃ旭先輩、お風呂に入ってきてくださいっ。髪と服濡れてますよ。傘を私のほうにやってたからですよね。遠慮しないでください。先輩が風邪引いたら嫌なので!」
確かに桜叶が濡れるのを心配して傘を桜叶のほうに寄らせてたけど…。
「ありがと、じゃあ入ってくるよ」
「チッ」