もう一回言って

あ、失礼だったかな。
桜叶の顔をのぞくと、特に気にしている素振りもなく素直に頷いてくれた。

「へーっ、じゃあ先輩今一人暮らしなんですね!」
「うん。つい最近からね。両親二人とも大分にあるじいちゃんばあちゃんの様子見に行ってて、心配だからしばらくはあっちに泊まるって。あと一か月くらいは一人かな」
「…私も、一人暮らしになる予定だったので、同じですね」
「ん?予定だった、って?」
今、両親が海外に一年間出張で行くから一人なんじゃないの?桜叶って一人っ子、だよね?
「あ、はは!間違えました、一人暮らしですよ、今も!」
ぎこちない笑み。何かあるとは思ったけど、深くは突っ込めなかった。
「ここが私の家です。どうぞ、入ってください」
「素敵な家だね。じゃぁお邪魔します‥」
大きくて立派な桜叶の家。隣の家も中々だったけど…すごいな。
玄関入ってすぐの靴箱に、男物の靴がいくつかあるのが目に入る。
「ねぇ桜叶、これって…「桜叶!遅いから心配し…。はっ?」
階段を勢いよく降りて俺たちの前に姿を現したのは黒崎だった。
「え‥」
黒崎の方も驚いているようで、俺を見て固まった後、桜叶に目を向ける。
「涼ちゃん、部屋から出ないでって…!」
「あれ、ほんとだったのかよ!?冗談かと思った、悪い。ってか桜叶お前、びしょ濡れじゃねぇか。傘持ってるって言ってたのによ‥。…はぁ。とにかく風呂入ってこい。その間に何か作っといてやっから」
「ありがとおっ!頼りになる~」
「うっせ…///」
桜叶は俺のことを気にも留めずに廊下の一番奥にある部屋に入って行った。
まるで夫婦かカップルのような会話の二人に俺は瞬きもせずに動きを止めてしまった。
「黒崎、おま…桜叶と付き合って…」
「ちげぇよ」