もう一回言って

あぁ、可愛い―。
図書室で、久しぶりに未桜とまともに話せたとき、そう思った。
未桜はもう俺のことを好きじゃないことはわかっている。
最低な別れ方と、あいつら(・・・・)のせいで未桜を深く傷つけたから、もう未桜に自分の気持ちを言えない。というか、言ったら未桜の幼馴染の黒崎に殺されるだろう。
黒崎が未桜のことをすごく大切にしているのは見ただけで分かった。誰に対しても冷酷で女子と話しているのを見たことがない。
俺も、俺なりに未桜のことは大切にしていたつもりだったけど、最終的にその分‥いや、大切にした分以上に傷つけた。最低すぎる。俺も、あいつらも。嫉妬だった…未桜を賭けに使うのも許せなかった…。

一年前、あいつらはいつものように誰を賭けに使って儲けるかの話をしていた。
賭け、儲ける。簡単に言うと、例えばA君がBちゃんに告白した時、オッケーされるかで賭けをする。もし、了承された場合、次の賭けになる。A君とBちゃんが何か月付き合えるか、キスまで行けるのか、だ。A君は仕掛け人‥賭ける人で、Bちゃんは賭けられる人。
その立場で言うと、俺が立候補する前はBちゃんは未桜にしようってことになっていて、A君は周りの誰かしらの男子を使おうってことになっていた。俺はBちゃんが未桜って知る前はまたやってるな…。とか全く興味はなかったけど、未桜が賭けに使われ、誰かとキスまでしてしまう…そんなことを想像するのも嫌で頭で考えるよりも早く『俺が柊木さんと付き合う』と言ってしまっていた。
不思議なことに、未桜の方から俺に告白してくれて、もし賭けじゃなかったら…と思うと悔しかったけど、すごく嬉しかった‥。
こんなこと、今未桜に言っても信じてもらえないだろうけどな。
はぁ、っとため息をついて図書室から出る。
その後ろを小さな足でついてくる未桜。
「旭先輩…?」
「んっ、ごめん。聞いてなかった」
下駄箱で靴に履き替えたとき、ようやく未桜に話しかけられていたことに気がついた。
「あ。えっと…その子ってどんな感じの子なんですか?」
え…っと、その子?