「……分かった。チェシャ猫を信じる。白ウサギの言葉を信じるよ」
溢れそうになる涙を堪え、頭の中で大丈夫、と繰り返す。大丈夫、きっとまた会える。
「あ! アリスー! はい! 傘。外天気悪いみたいだから、貸してあげるよ!」
「ありがとう、メアリー」
半ば無理矢理渡された傘を持ち、メアリーにお礼を言う。
「きゃー! 可愛いアリスにお礼言われちゃった! メアリー頑張るね! 絶対絶対、また会おうね! メアリー楽しみにしている!」
出会った時のように、ギュッと抱きつかれる。何度抱きつかれても慣れそうにないなぁ。
「メアリー! 早く! 魔物が来る!」
先に外に出ていたグリフォンがこちらに向かって叫ぶ。
見るとグリフォンの言う通り、魔物がすぐそこまで迫っていた。
「うるさいなーもうっ。メアリーに命令するなんて百万年早いの!」
驚く私をお構い無しに、メアリーは次の行動に出る。名残惜しそうに離れ、こちらを向いたまま後ろに下がっていく。
「メアリー」
「ふふっ。メアリーの獲物が獲られちゃうと嫌だからいくね!」
迫り来る魔物の嫌な感じに不安が押し寄せてくる。お別れが怖い。
もう一度呼び止めそうになる名前を呑み込む。呼び止めちゃダメだ。信じると決めた。だから。
「無事でいて。必ず、呪いを解くから」
「もちろん!」
メアリーは満面の笑顔で答えると、魔物の方を向き、体勢を整える。
「可愛くない魔物さん? メアリーが可愛く料理してあげるから待っていてね!」
メアリーは手を後ろに回すと、エプロンドレスのリボンに隠していた二本の包丁を取り出した。両手に一本ずつ握られた少し長めの包丁は、よく研がれているのか怪しく光る。
チラリと見えた自信ありげな横顔。そしてその向こうに見えた白ウサギ達の背中を見て、本当に大丈夫な気がした。
「ね? 心配ないだろう?」
隣にきたチェシャ猫が私を見て微笑んだ。
「うん」
皆なら魔物にだって負けない。背中から負けないという意思を感じる。
「準備完了、ですね。では、行きますよ!」
「「「「お―!」」」」
白ウサギの合図で五人は魔物の群れへ飛び込んでいく。
グリフォンは素早い動きで多くの魔物を一瞬でなぎ払い、メアリーは包丁で魔物を切り裂いていく。ビルと海ガメは頭脳で勝負なのか、上手く魔物を躱しながら石を投げて攻撃をしていた。白ウサギも、銃でどんどん魔物を撃ち落としていく。
その彼等の負けないという意思が私を強くさせる。この先に例え不安や恐怖に襲われる事があっても、打ち勝てると思うほどの強さが出てくるほどに。
「私も、やるんだ。白ウサギ達から貰った勇気を無駄にしちゃいけない。先に、進まなきゃ! チェシャ猫、行こう!」
まずは帽子屋の屋敷へ。そして黒ウサギの元へ。
「うん。アリス、手を」
チェシャ猫が手を差し出し、私はその手をとる。その手の温もりに、白ウサギ達に感じた同じ懐かしさと同時に、それとはまた違う懐かしさを感じた。この感じは城で初めてチェシャ猫に会った時の……
二つの懐かしさが全身を駆け巡る。思い出したいのに、思い出せない。大切なモノのハズなのに忘れてしまった。私達は絆で繋がっている。それは白ウサギ達を通して分かった事だ。もしかして、それとは別の絆で、私とチェシャ猫は繋がっているのだろうか。
その答えは、もうすぐ分かる。最近よく当たる私の直感がそう告げた。
溢れそうになる涙を堪え、頭の中で大丈夫、と繰り返す。大丈夫、きっとまた会える。
「あ! アリスー! はい! 傘。外天気悪いみたいだから、貸してあげるよ!」
「ありがとう、メアリー」
半ば無理矢理渡された傘を持ち、メアリーにお礼を言う。
「きゃー! 可愛いアリスにお礼言われちゃった! メアリー頑張るね! 絶対絶対、また会おうね! メアリー楽しみにしている!」
出会った時のように、ギュッと抱きつかれる。何度抱きつかれても慣れそうにないなぁ。
「メアリー! 早く! 魔物が来る!」
先に外に出ていたグリフォンがこちらに向かって叫ぶ。
見るとグリフォンの言う通り、魔物がすぐそこまで迫っていた。
「うるさいなーもうっ。メアリーに命令するなんて百万年早いの!」
驚く私をお構い無しに、メアリーは次の行動に出る。名残惜しそうに離れ、こちらを向いたまま後ろに下がっていく。
「メアリー」
「ふふっ。メアリーの獲物が獲られちゃうと嫌だからいくね!」
迫り来る魔物の嫌な感じに不安が押し寄せてくる。お別れが怖い。
もう一度呼び止めそうになる名前を呑み込む。呼び止めちゃダメだ。信じると決めた。だから。
「無事でいて。必ず、呪いを解くから」
「もちろん!」
メアリーは満面の笑顔で答えると、魔物の方を向き、体勢を整える。
「可愛くない魔物さん? メアリーが可愛く料理してあげるから待っていてね!」
メアリーは手を後ろに回すと、エプロンドレスのリボンに隠していた二本の包丁を取り出した。両手に一本ずつ握られた少し長めの包丁は、よく研がれているのか怪しく光る。
チラリと見えた自信ありげな横顔。そしてその向こうに見えた白ウサギ達の背中を見て、本当に大丈夫な気がした。
「ね? 心配ないだろう?」
隣にきたチェシャ猫が私を見て微笑んだ。
「うん」
皆なら魔物にだって負けない。背中から負けないという意思を感じる。
「準備完了、ですね。では、行きますよ!」
「「「「お―!」」」」
白ウサギの合図で五人は魔物の群れへ飛び込んでいく。
グリフォンは素早い動きで多くの魔物を一瞬でなぎ払い、メアリーは包丁で魔物を切り裂いていく。ビルと海ガメは頭脳で勝負なのか、上手く魔物を躱しながら石を投げて攻撃をしていた。白ウサギも、銃でどんどん魔物を撃ち落としていく。
その彼等の負けないという意思が私を強くさせる。この先に例え不安や恐怖に襲われる事があっても、打ち勝てると思うほどの強さが出てくるほどに。
「私も、やるんだ。白ウサギ達から貰った勇気を無駄にしちゃいけない。先に、進まなきゃ! チェシャ猫、行こう!」
まずは帽子屋の屋敷へ。そして黒ウサギの元へ。
「うん。アリス、手を」
チェシャ猫が手を差し出し、私はその手をとる。その手の温もりに、白ウサギ達に感じた同じ懐かしさと同時に、それとはまた違う懐かしさを感じた。この感じは城で初めてチェシャ猫に会った時の……
二つの懐かしさが全身を駆け巡る。思い出したいのに、思い出せない。大切なモノのハズなのに忘れてしまった。私達は絆で繋がっている。それは白ウサギ達を通して分かった事だ。もしかして、それとは別の絆で、私とチェシャ猫は繋がっているのだろうか。
その答えは、もうすぐ分かる。最近よく当たる私の直感がそう告げた。

