2 真実の魔法
長い時間、君を想った。けれど駈けていく先に君はいない。
「チェシャ猫、大丈夫か! 何があったんだ!」
「帽子屋かい? 無事だったんだね」
いつも通り一番に目を覚ますと、青い薔薇を隙間なく飾った、キチガイな帽子を被った青年が覗き込んでくる。手を繋いだ先にいるアリスが無事でほっとした。
帽子屋が狂っている様子はない。とはいえ、帽子屋のキチガイは本当に呪いのせいなのか疑わしいから、警戒はする。
「何で戻ってきてんだよクソ猫、さてはクソ猫の実力不足で逃げ帰ってきたのか?」
「臭いと思ったら君かい? ドブネズミ。さっさと世界の割れ目に身を投げたらどうだい、汚いネズミが綺麗な白い存在になるよ」
此処が帽子屋の館であることを確認しつつ、相変わらず神経を逆撫でするネズミに一瞥をくれてやる。どうやら帽子屋邸のウサギの部屋へ戻ってきたようで、部屋には帽子屋、眠りネズミ、メアリーとビル、アリスと僕の六人がいた。
「よっく寝た! おっはよー!」
「うーん、まだ眠いよぉ」
メアリーとビルも目を覚ましたのか、メアリーは元気に身体を起こす。ビルは寝ぼけているのか虚ろな目を擦っていて、寝起きは悪いようだ。
「アリス、アリスもそろそろ」
「どうした?」
アリスを起こそうと視線を向けると、血の気が引いた。何だか悪い予感がする。アリスの手が、冷たい。どんどんと体温を失っていく。
「アリス、アリス、起きて」
肩を揺さぶり、アリスの意識に呼び掛ける。いつもならここで目を覚ますのに、アリスの瞼が開く気配が全くない。むしろ息をしているのかも怪しまれるくらいピクリともせず、肌色が血の気を失い白くなっている。
「アリス!」
「おい、アリス、起きろ」
長い時間、君を想った。けれど駈けていく先に君はいない。
「チェシャ猫、大丈夫か! 何があったんだ!」
「帽子屋かい? 無事だったんだね」
いつも通り一番に目を覚ますと、青い薔薇を隙間なく飾った、キチガイな帽子を被った青年が覗き込んでくる。手を繋いだ先にいるアリスが無事でほっとした。
帽子屋が狂っている様子はない。とはいえ、帽子屋のキチガイは本当に呪いのせいなのか疑わしいから、警戒はする。
「何で戻ってきてんだよクソ猫、さてはクソ猫の実力不足で逃げ帰ってきたのか?」
「臭いと思ったら君かい? ドブネズミ。さっさと世界の割れ目に身を投げたらどうだい、汚いネズミが綺麗な白い存在になるよ」
此処が帽子屋の館であることを確認しつつ、相変わらず神経を逆撫でするネズミに一瞥をくれてやる。どうやら帽子屋邸のウサギの部屋へ戻ってきたようで、部屋には帽子屋、眠りネズミ、メアリーとビル、アリスと僕の六人がいた。
「よっく寝た! おっはよー!」
「うーん、まだ眠いよぉ」
メアリーとビルも目を覚ましたのか、メアリーは元気に身体を起こす。ビルは寝ぼけているのか虚ろな目を擦っていて、寝起きは悪いようだ。
「アリス、アリスもそろそろ」
「どうした?」
アリスを起こそうと視線を向けると、血の気が引いた。何だか悪い予感がする。アリスの手が、冷たい。どんどんと体温を失っていく。
「アリス、アリス、起きて」
肩を揺さぶり、アリスの意識に呼び掛ける。いつもならここで目を覚ますのに、アリスの瞼が開く気配が全くない。むしろ息をしているのかも怪しまれるくらいピクリともせず、肌色が血の気を失い白くなっている。
「アリス!」
「おい、アリス、起きろ」

