「俺は率直な意見を述べたまでだ。それに仮にも、王に変わった成りとは」
「謝ってください。女王様にお伝えしましょうか?」
「すまなかった」
「あ、はい」
余程時計屋さんの威圧感が凄かったのか、不服そうに、顔を背けながら王子様は呟く。
「流石我が王。レディへの礼儀を心得、妻への愛を忘れないその姿勢、まさに貴方こそ王にふさわしいと思います」
「そうだろう、そうだろう!」
「ぷっ、相変わらず」
「時計屋さんの飴とムチ」
「「最高だね」」
クスクス、クスクス、とこれがいつもの光景なのか、ディーとダムが笑う。ダイヤの王子様はと言うと、鼻を高くして自分がどれだけ王として偉大か語り始めている。
「あ、あのっ! 私はなんとも思っていないので、チェシャ猫の解毒をお願いします!」
本当はお願いなんて出来る立場じゃないんだろうけど、チェシャ猫をまず解毒してもらわないといけない。
「失礼。それではそこのダイヤ兵、チェシャ猫を救護室へ運び解毒を行ってください」
「かしこまりました」
時計屋さんから命令を受けたダイヤの兵士は、ダムからチェシャ猫を受けとると先ほどの扉から出ていく。チェシャ猫の傍を離れることが不安で動揺してしまった。
「飼い猫の心配より」
「自分の心配をしたら?」
目の前に現れた手に、はっと我に帰る。
私を送り出してくれた帽子屋、眠りネズミ、仕立て屋。それに夢魔。応援してくれた全員の気持ちを無駄にしたくない。チェシャ猫がいない分、頑張らなきゃ。ここからが、勝負なのだから。
「あの、私がここに来たのは」
「分かっている」
時計屋さんの説教から抜け出したダイヤの王子様は、見透かすように私を見つめる。違う、もう、見透かされているんだ。
「呪いを解きたいのだろう。そして、その為の鏡を探している」
予感した通り王子様は私の嘘なんて見通し、隣のディーとダムも、妖しく笑っている。最初から、嘘だとバレていた
「君さ」
「お前さ」
「「嘘下手すぎ」」
堪えていたのか、腹を抱えて笑い出すディーとダム。悔しさと恥ずかしさが混ざって、穴があったら入りたかった。けれど少し冷静になって考えると、嘘だと知りながら私を王子様のところに連れてきたのは、何か意図があるということだ。
「嘘をついてごめんなさい。でも、嘘と分かっていて連れてきたということは、私に何か用があったんですか? でなければ私を此処へ入れたりしないはず、ですよね」
恐る恐る尋ねると、今度は王子様がわずかに吹き出す。
「可笑しなことを言うな。用があったのはお前だろう」
私がここに着たのは、ジャックさんのバケツがあったから。ここが私に必要な場所、なら。
「私、皆の呪いを解きたいんです。力を貸してくれませんか」
ちぐはぐなことを言っているのはわかっている。けれど、ジャックさんを信じるなら、ダイヤの王子様は何か鏡に関する鍵を握っているはず。
「欲深いな。全てを救いたいなど浅はかだ。世界を救い、呪いを解くなど大業を成し遂げることなど不可能。犠牲なしで世界など成り立たん。我が身を見ろ、我のような偉大な者であれ、女王との時間という尊いものを犠牲にして、生きているのだ」
「偉大は過言ですが」
時計屋さんに突っ込まれた王子様は返す言葉がないのか黙り込んでしまった。
ダイヤの王子様は、全て分かった上で言っている。犠牲無しで世界は救えない。女王様やダイヤの王子様が言うことは正しい。実際、犠牲があって世界は成り立ってきた。
「謝ってください。女王様にお伝えしましょうか?」
「すまなかった」
「あ、はい」
余程時計屋さんの威圧感が凄かったのか、不服そうに、顔を背けながら王子様は呟く。
「流石我が王。レディへの礼儀を心得、妻への愛を忘れないその姿勢、まさに貴方こそ王にふさわしいと思います」
「そうだろう、そうだろう!」
「ぷっ、相変わらず」
「時計屋さんの飴とムチ」
「「最高だね」」
クスクス、クスクス、とこれがいつもの光景なのか、ディーとダムが笑う。ダイヤの王子様はと言うと、鼻を高くして自分がどれだけ王として偉大か語り始めている。
「あ、あのっ! 私はなんとも思っていないので、チェシャ猫の解毒をお願いします!」
本当はお願いなんて出来る立場じゃないんだろうけど、チェシャ猫をまず解毒してもらわないといけない。
「失礼。それではそこのダイヤ兵、チェシャ猫を救護室へ運び解毒を行ってください」
「かしこまりました」
時計屋さんから命令を受けたダイヤの兵士は、ダムからチェシャ猫を受けとると先ほどの扉から出ていく。チェシャ猫の傍を離れることが不安で動揺してしまった。
「飼い猫の心配より」
「自分の心配をしたら?」
目の前に現れた手に、はっと我に帰る。
私を送り出してくれた帽子屋、眠りネズミ、仕立て屋。それに夢魔。応援してくれた全員の気持ちを無駄にしたくない。チェシャ猫がいない分、頑張らなきゃ。ここからが、勝負なのだから。
「あの、私がここに来たのは」
「分かっている」
時計屋さんの説教から抜け出したダイヤの王子様は、見透かすように私を見つめる。違う、もう、見透かされているんだ。
「呪いを解きたいのだろう。そして、その為の鏡を探している」
予感した通り王子様は私の嘘なんて見通し、隣のディーとダムも、妖しく笑っている。最初から、嘘だとバレていた
「君さ」
「お前さ」
「「嘘下手すぎ」」
堪えていたのか、腹を抱えて笑い出すディーとダム。悔しさと恥ずかしさが混ざって、穴があったら入りたかった。けれど少し冷静になって考えると、嘘だと知りながら私を王子様のところに連れてきたのは、何か意図があるということだ。
「嘘をついてごめんなさい。でも、嘘と分かっていて連れてきたということは、私に何か用があったんですか? でなければ私を此処へ入れたりしないはず、ですよね」
恐る恐る尋ねると、今度は王子様がわずかに吹き出す。
「可笑しなことを言うな。用があったのはお前だろう」
私がここに着たのは、ジャックさんのバケツがあったから。ここが私に必要な場所、なら。
「私、皆の呪いを解きたいんです。力を貸してくれませんか」
ちぐはぐなことを言っているのはわかっている。けれど、ジャックさんを信じるなら、ダイヤの王子様は何か鏡に関する鍵を握っているはず。
「欲深いな。全てを救いたいなど浅はかだ。世界を救い、呪いを解くなど大業を成し遂げることなど不可能。犠牲なしで世界など成り立たん。我が身を見ろ、我のような偉大な者であれ、女王との時間という尊いものを犠牲にして、生きているのだ」
「偉大は過言ですが」
時計屋さんに突っ込まれた王子様は返す言葉がないのか黙り込んでしまった。
ダイヤの王子様は、全て分かった上で言っている。犠牲無しで世界は救えない。女王様やダイヤの王子様が言うことは正しい。実際、犠牲があって世界は成り立ってきた。

