お抹茶王子にキョーミないですっ!

「お母さんの許可を得ずに申し出たことはお詫びします。ですが」

「なにを勝手なことを! あなた、ご自分がなにを言っているかわかっているの!? これまでうちがあのお方にどれだけのご恩を頂戴してきたことか」

「僕を恩返しの道具にしないでください!」


 声を張ると、母はひるんだように黙った。


「……実の親に『気味が悪い』とまで言われて、あんなことを続けられますか」


 ひとたび目が覚めてしまったら、もう『人形』には戻れない。母の操り人形には。


「僕はスズちゃんが好きだ。さつきさんではなくて、スズちゃんが」


 母を苦しめたいわけじゃない。だけど。わかってほしかった。否定しないでほしかった。

 彼女を。そして僕を。


「スズちゃんの茶道部復帰を許可してください。それと……、僕とさつきさんとの許嫁の約束を、解消してください」


 自分でも嫌になるくらいの、まっすぐ正しいお辞儀を母へと向けた。

 母は小さく息をついて、部屋を出ていった。