お抹茶王子にキョーミないですっ!

 母からは「父は死んだ」と聞かされていた。

 事情があって二人は別居していた、とも。


 そんな中で受け取ったこの手紙は僕にとってかなりの衝撃だった。

 正直、混乱した。手紙の主は本当に父なのか。本当だとすれば父は生きていて、母は僕に嘘をついていた、ということになる。


 内容はそれほど複雑なものではなかった。


 元気にしているか、生活に不満はないか。

 そんな当たり障りのないものか、と思ったら、続きにこうあった。


『もし今の暮らしを変えたいという思いがあるのなら、下記の番号に連絡してほしい』

『15歳はもう親の言いなりになる歳ではない。私は千菊にひとりの男として自由に生きてほしい。父親として、千菊の力になりたい』


 ──ひとりの男として。


 父は僕が母の意のままにされていることを、女装させられていることを、知っていたのだろうな、と文からなんとなく読み取れた。


 最初に読んだ時、この手紙は特に僕の心に刺さることはなかった。

 だけど今は────。


「お父さん」


 四角いメガネをかけた、頭の良さそうな人だった。


「頼みがあります」