「これだ……」
ひとり自宅にて、汗を流しながら自分用の引き出しをひっくり返してようやく見つけたのは一通の手紙。
宛名は僕。そして差出人は『龍崎 俊哉』。ひと月ほど前に受け取った、僕の、『父』を名乗る人物からの手紙だった。
開封済みの封筒から、便箋を抜き取る。
堅い雰囲気の手書きの文字が並ぶそこに書き添えられている番号を、慎重に画面に打ち込んだ。
耳に当てると呼出音が聴こえ、やがて途切れた。
「…………千菊です」
指定されたのは隣の市の、よくあるコーヒーショップだった。
「よく来たね」
父はそう言って僕を迎えた。
「父さんのこと、憶えてる?」
「……いえ」
答えると「そうか……10年以上も経つからね」と寂しげに微笑んだ。
手紙を受け取ったのは先月。
15歳の誕生日当日のことだった。下校時、家の前で待っていた見知らぬ人から手渡しされた。
気味が悪くて最初は捨てようかと思った。
だけど差出人が自分と同じ『龍崎』の苗字だったこと、それに手紙の書き出しが『15歳になった千菊へ』となっていて、思いとどまった。
ひとり自宅にて、汗を流しながら自分用の引き出しをひっくり返してようやく見つけたのは一通の手紙。
宛名は僕。そして差出人は『龍崎 俊哉』。ひと月ほど前に受け取った、僕の、『父』を名乗る人物からの手紙だった。
開封済みの封筒から、便箋を抜き取る。
堅い雰囲気の手書きの文字が並ぶそこに書き添えられている番号を、慎重に画面に打ち込んだ。
耳に当てると呼出音が聴こえ、やがて途切れた。
「…………千菊です」
指定されたのは隣の市の、よくあるコーヒーショップだった。
「よく来たね」
父はそう言って僕を迎えた。
「父さんのこと、憶えてる?」
「……いえ」
答えると「そうか……10年以上も経つからね」と寂しげに微笑んだ。
手紙を受け取ったのは先月。
15歳の誕生日当日のことだった。下校時、家の前で待っていた見知らぬ人から手渡しされた。
気味が悪くて最初は捨てようかと思った。
だけど差出人が自分と同じ『龍崎』の苗字だったこと、それに手紙の書き出しが『15歳になった千菊へ』となっていて、思いとどまった。
