お抹茶王子にキョーミないですっ!

「マサミ先生と会ってどうなさるおつもり?」

 どうしてそんなわかり切ったことを訊くのか。


「取り下げてもらうに決まっているでしょう。スズちゃんの退部を」

「代わりにあなたが退部なさるの?」
「えっ……」


 一瞬の静寂が僕と彼女の間に流れた。


「部内恋愛は禁止の規則です。さっきの西尾さんへの発言、まさか取り消すつもりがない、ということ?」

「……そうですね。退部しろと言われるのであれば仕方ない」

「どうして!」

「『規則だ』と言ったのはそっちでしょう」

「あなたの真意がわからないです」

 僕だってわからない。母の言う通りにしなくては、と思うのに、「そうしたくない」と心が叫ぶ。


 スズちゃんが好きだ。
 スズちゃんといたい。


「少なくとも今のあなたと許嫁で居続けることは私は望みません」


 じ、と真正面で見つめ合う。

 昔は彼女のほうが背が高かったのに、いつからこんなに差ができたのか。


「僕もだ」

 短く返すと、さつきさんは目を潤ませて走り去っていった。