ほどなくしてバス停に着いて乗車。乗り合った乗客さんはわたしたちを、おもにわたしを抱える龍崎先輩を見て一瞬ギョッとした顔をした。
そ、そうだよね。さすがに車内ではお姫様抱っこから降ろしてもらった。
そうして数分。バスは旅館の最寄りのバス停に到着した。
「あ、あの、もう降ろしてもらって大丈夫ですからっ」
バスを降りてまたお姫様抱っこをしようとする龍崎先輩を全力でお断りする。
いくらなんでも真夏の炎天下にこんなの、しかも着物姿でなんて過酷すぎるもん。
それでも「いいから」と聞かない。んん、結構頑固なんだなぁ。
と、思ったその時だった。
「なにをしているの? 千菊さん」
ぼんやりした昼下がりの空気をびっ、と裂くような尖った声。
途端に龍崎先輩の身体が硬くこわばるのがわかった。わたしを抱く手に、じり、と力が入るのを感じる。
「……お母さん」
マサミ先生のことをそう呼ぶ龍崎先輩を見たのは、これが初めてだった。
そ、そうだよね。さすがに車内ではお姫様抱っこから降ろしてもらった。
そうして数分。バスは旅館の最寄りのバス停に到着した。
「あ、あの、もう降ろしてもらって大丈夫ですからっ」
バスを降りてまたお姫様抱っこをしようとする龍崎先輩を全力でお断りする。
いくらなんでも真夏の炎天下にこんなの、しかも着物姿でなんて過酷すぎるもん。
それでも「いいから」と聞かない。んん、結構頑固なんだなぁ。
と、思ったその時だった。
「なにをしているの? 千菊さん」
ぼんやりした昼下がりの空気をびっ、と裂くような尖った声。
途端に龍崎先輩の身体が硬くこわばるのがわかった。わたしを抱く手に、じり、と力が入るのを感じる。
「……お母さん」
マサミ先生のことをそう呼ぶ龍崎先輩を見たのは、これが初めてだった。
