お抹茶王子にキョーミないですっ!

「せんぱああああいっ」


 一生懸命に追いかけて、その後ろ姿に声をかけるけど反応はない。

 無視されてるのかも。会っても人違いのふりをされちゃうかも。


 でも。でも『その人』は。
 間違いなくそうだもん。


 だったら、こう呼ぶよ。


「お菊ちゃんっ!」


 ぴくり、とその歩みが止まった。
 そしてその人はゆっくり、すらり、とこちらを振り返る。


 チリン。


 また幻聴。

 どうしてかスローモーションに見えた。


 ごくり。


 なんて美しい人なんだろう。

 ぞっとするほど、綺麗だった。


 その整った顔が「あ」と低く発する。


「…………へ?」


 見とれていたから、というわけじゃない。ただ、追いかけることに集中しすぎていたのと、京都の街に慣れていなかったのが原因だとは思う。



「危ない────!」

 ────キキィッ!