お抹茶王子にキョーミないですっ!

 先輩や先生に聞かれはしなかったか、と慌ててキョロキョロ周りを見てから「ばか」とわたしは目を細めた。

「わたしのお楽しみはやっぱり旅館のごはんかな?」


 そんなわけで、夜。

 マサミ先生ご贔屓の『ちょっとイイ旅館』にて見たこともないような豪華なお膳のお夕食をいただいた。


「ふぎゃあー! これこれ! こういうのさ!」

「し、しゅごい……」

 な、なん、なんっだこれは! 美しい! とろける! 香る! こりこり! ふんがー!


 興奮するわたしとマヨ。ポウちゃんは黙々と、やよいちゃんは慣れたふうに、みんなで食事をした。


「このあとマサミ先生による『茶の湯の歴史と心』についてのご講話がありますので、8時になったら『しらゆりの間』に集合してください」

「ハイっ」



「『ご講話』って眠そうだねぇ」

「マヨ、絶対寝ないでよ?」

 わたしたちのやり取りを隣で見ていたポウちゃんが「ぷふっ」とかわいく笑った。


「みなさん、行きますよ」

 やよいちゃんは準備が早い。


「まだ全然時間余裕じゃんー」

 マヨが言うと「下級生ですから」とピシャリ。


 ハイハイ、というわけでわたしたち4人が『しらゆりの間』に一番乗りした。